昔は、何考えてるかわからないから子供ってもんが苦手だったんだけど、最近は平気になってきた。転んで泣いちゃっても、とりあえずウンコって言っとけば笑ってくれると知ったから。
もち太です!
はじめてのおつかい見たー!あれは見るたびマジ泣きするからやばい。
子供ってすごいなあ。あんなに純粋にお母さんとお父さんを愛せるんだもんなあ。
あの番組を見るたび、ちっちゃい子はちゃんと周りの大人が見守ってあげなきゃダメだよなあと思う。子供の目の前で平気で歩き煙草するオッサンに見せてあげたいわ。
おつかいついでに、またアレッシー化妄想したので置いていきます。こないだイルーゾォだったから今日は兄貴で。
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「そりゃあおめーら、オレだってわかるぜ。不況にリストラ、若いヤツほど辛酸舐めさせられるこの世の中だ。活気もねェ、先も見えねェ。この荒んだ世の中生き残るにゃあカネがいる。
だがッ!だからって人様に迷惑かけていい言い訳にはならねえだろうがッ!ええ!?わかるか!?お前ら大の大人が八人も雁首揃えてッ!思い付くのが誘拐だなんざ情けねーってオレぁそう言ってんだッ!(ダンッ)」
――寝て起きたらなぜかアレッシー化していた子プロシュートは、小さい頃からやる時はやる男だったようです。――
「~~~……と、まあ掻い摘んでいうとこういうわけなんだよ。わかったかい? プロシュート君。キミは俺たちの仲間で大人だった。そして俺たちは誘拐犯じゃあない」
「…………なるほど。まるで突拍子もねえし不可解な点が多すぎるが、筋は通ってんな。わかった。お前らが誘拐犯じゃあねーってのは信じる。メローネ。おめーの説明はなかなか解りやすかったぜ。そこのグルグル頭と違ってよォ」
「フフフ、ディ・モールト グラッツェ」
「……っの……!クソガキがァァアアアアーーーッ! 俺だってきちんと説明してやっただろォ~~~がッ!それをッ!大人しく聞きもしねェーでいちいちいちいち突っ込み入れてきやがったのはオメーじゃあねえかぁああ~~~ッ!クソックソッこのクソガキがッ!いちいち話の腰を折りやがってッ!っつーか『話の腰』ってどこの部分の事だァイラつくぜェェエーーーッ!」
「……まあ、ギアッチョの事はあのまま放っておいてくれ。すぐに治まる。それでプロシュート君」
「なんだ?」
「今日は何をして遊ぼうか。絵本でも見るかい?それともおもちゃで遊ぶ?」
「ジョーダン。おれもう五歳だぜ? 絵本なんざガキかマンモーニの読むもんだろ。おもちゃだっていらねー。そーいうのはパスだ。おれみてぇなオトナのオトコはなあ、もっと有意義に時間を過ごすもんなんだぜ?」
「うーんなるほど。ベリッシモ同意だ。確かにキミほどのオトナに絵本は似合わない」
「へへへ、わかってんじゃあねーか」
「同じオトナのオトコ同士だからな。そりゃあ分かり合えるさ。それで?キミの思う有意義な時間の過ごし方を教えてくれないかい?」
「ん?そりゃあおめー、やっぱウマいメシ食ってるときだろ。強いオトコは体が資本だ」
「うんうんなるほど。じゃあ少し早いが昼飯といこう。プロシュート君。キミは何が食べたい?」
「でっかいハンバーグ!」
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「味はどお? 兄貴……じゃあなくて、えーと、ぷ、プロシュート……さん」
「おう!うめーぞペッシッ!このよォー、中にチーズ入れる気遣いっつーの?肉本来の味わいを際立たせるソースの味付けっつーの?おめーは最高のオトコだッ!街の掃除屋チームにいるのがもったいねーくらいだぜッ!」
※街の掃除屋=『暗殺者』をめいっぱい柔らかくした表現。
「え、えへへへへ!(兄貴に褒められた……!)」
「んで?他のメンバーはまだ帰ってこねーのか?」
「うーん、敵スタンド使いの情報を掴むか倒すかすればすぐに戻ってくる手筈になっているんだが、誰も帰らないってことは」
「何の手掛かりもねーって事か」
「ッチ……(イライライライラ)」
「んーギアッチョ、キミはさっきから落ち着きがなさすぎるぜ。子供のプロシュートがこれだけ冷静だっていうのにさあ」
「っるせェ!だいたいよォオ~~……!オメーやペッシはまだしもなんっで俺が留守番なんだよッ!あああもう我慢ならねェッ!俺も犯人の野郎をブッ殺しに行くぜッ!」
「だ、ダメだよギアッチョ……リーダーに言われたじゃあないか、犯人がまた襲ってくるかもしれないから兄貴の身辺警護を頼むって……」
「ぁあ"ッ!?オメー誰に意見してんだこのマンモーニがッ!とにかく俺ぁこれ以上ガキのお守りなんざしねェーからなァアッ!」
「ハン!誰がテメーなんかの世話になるかッ!ショクムホーキすんなら勝手にしやがれッ!まあテメーみてえなスッとぼけた野郎、犯人見つけた時点でソッコー返り討ちだろうがよォ!」
「ンだとテメェェエエエーーーッ!」
*
「……ハァ。いま戻った」
「おかえりリーダー!」
「お、お帰りなさい、リーダー。……それで、手掛かりは……」
「……残念ながら。他のみんなは」
「みんな戻ってますけど、誰もわかんねーって……」
「……そうか(ハァ)
それで、プロシュートは?」
「あ。兄貴はいまギアッチョとお風呂に……」
「ギアッチョと?しかしギアッチョは子供の相手は苦手だと……」
ガタッ!
ダダダダダ……バンッ
「っだーーーッ!テメェッ!髪くらい乾かしてから出ろっつったろこのクソがァアアーーーッ!」
「うるせェェエーーーッ!髪なんざ乾かしてる時間がもったいねーッ!風呂上がりにゃあ牛乳だろうがッ!牛乳を飲むと心の中で思ったならッ!その時スデに行動は終わってんだッ!(ぐびっ)」
「……『苦手』はイコール『向いてない』ってわけじゃあないって事さ。今じゃあすっかり仲良し。性格と精神年齢が近いんだと思うよ。……まったくプロシュートのやつ、俺よりギアッチョを取るなんてなあー。あれだけ俺が面倒見てあげたってのに薄情だよなぁあ~~」
「…………ふむ。まあ、仲良くしているんならいい。さてペッシ。俺のぶんのメシはあるか?」
*
こんこん
「……ん?誰だ」
「おれだ。プロシュート。夜分にすまねーが入っていいか?」
「ああ、もちろん」
ガチャ
「…………よう、リゾット」
「ああ。どうした?プロシュート。何か聞きたいことでもあるのか?お前の部屋の案内なら一応済ませておいたはずなんだが」
「んー……いや、聞きたい事はねーんだが……」
「うん」
「あー……アレだ。リゾット、お前はこのチームのリーダーなんだよなあ」
「そうだが」
「リーダーってのは一番強くてよ、逞しくてよ、ヒミツは守るもんだ。そうだろ?」
「そうだな」
「だからおれが今から何をしようが、お前はいっさい口を挟まねーし誰にも言わねー……。そうだろ?」
「ああ、お前がそう望むなら……
……なんだ?急に人肌が恋しくなったか?俺のベッドに潜り込んでくるなんて」
「……誤解すんなよ。別に毎日こうしてるわけじゃあねー。両親とだっていつもは別々の部屋だ」
「ふむ」
「ただよ、ニンゲン五歳にもなりゃあ、世の中のしがらみやら何やらに触れて疲れっちまうこともあるわけ。そーいうときってさァ、なんかこう、人恋しくなんねーか?」
「なるほど。少しわかるかもしれない」
「へへ、だろォ?」
「ああ。それで、どうして俺のところへ?ギアッチョはいいのか?」
「ハン、ジョーダンだろ。可愛い舎弟にこんな情けねーとこなんざ見せられるか」
「(ギアッチョ……お前いつの間に舎弟扱いに……)」
「その点お前なら安心だ。口堅そうだしよ、強そうだしよ、……なんか知んねーけど側にいると落ち着くし」
「…………」
「……っだーーー!もういいだろッ!こんなハナシはやめやめ!お前明日も犯人探しに行ってくれんだろ!?だったら早く寝るぞッ!人間カラダが資本だッ!」
「…………フフ、そうだな。早く寝るか」
「そうだ。早く寝ろ。おれも寝る」
「ああ」
「…………」
「…………」
「…………プロシュート」
「…………んだよ」
「……本当は今日、ずっと不安だったんだろう」
「…………」
「お前ほどの男が人恋しい、だ。不安だったろう、疲れたな。すまなかった。もう少し気遣ってやれればよかった。今日はダメだったが明日は必ずお前を元に戻してみせる。安心しろ。おやすみ」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………おやすみ(ぎゅ)」